睡眠時無呼吸症候群
睡眠時にいびき、10秒以上の呼吸停止がおこる病気です。眠りが浅いため日中に眠気や集中力低下を伴うことがあります。壮年~中年の肥満した男性に多く、高血圧、虚血性心疾患(狭心症、心筋梗塞)、心不全、不整脈、脳血管障害のリスクが高くなります。呼吸の際に空気の通り道(上気道)が閉塞するために起こる閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSAS)がおおく、スクリーニング検査として外来で簡易型ポリソムノグラフィーを行います。診断されたら、生活習慣の改善、睡眠時に経鼻的気道持続陽圧法(nasal CPAP)という装置を使用するなどの治療を行う必要があります。
睡眠中の酸素不足による脳や身体へのダメージ
本来、睡眠は日中活動した脳と身体を十分に休息させるためのものです。睡眠中に呼吸停止が繰り返されることで、頻回に覚醒し、体の中の酸素濃度が低下します。夜間も交感神経の緊張がつづく状態となるため(ふつう寝ているときは副交感神経が有意です)、高血圧、虚血性心疾患(狭心症、心筋梗塞)、脳血管障害、心不全、不整脈などを引き起こすことがあります。日中も強い眠気、倦怠感、集中力低下などが引き起こされ、様々な活動に影響が生じてきます。
自覚症状の感じ方や程度には個人差があります、可能であれば寝ている間のことについてぜひご家族やパートナーにきいてみてください。
症状のチェック項目~こんな症状はありませんか?
睡眠中 | 起床時 | 日中 |
---|---|---|
|
|
|
どうしてなるの?睡眠時無呼吸症候群の原因
睡眠時無呼吸症候群の原因は大きく分けて2つあります。
1.閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSAS)
空気の通り道である上気道(鼻や喉の気道)が狭くなり、呼吸が止まってしまう。90%以上がこのタイプになります。
主に閉塞性睡眠時無呼吸タイプは、次の様なものです。
・ 太っていて口内や軟口蓋やのどにも脂肪が付いている
・ あごが小さい
・首が短い
・扁桃腺が大きい
・ アレルギー性鼻炎や鼻茸で鼻が詰まっている
2.中枢性睡眠時無呼吸症候群(CSA)
脳から呼吸指令を出す呼吸中枢の異常によるものです。このタイプは数%程度です。心不全や脳血管疾患を合併していることが多いです。専門医療機関での加療が必要になります。
放置しておくとどうなるの?合併症について
夜間に熟睡ができないと慢性的に寝不足になり、日中の眠気で抑うつ気分・集中力の低下が見られます。居眠り運転事故や転落など大きな問題社会問題となることがあります。放置すると、高血圧、虚血性心疾患(狭心症、心筋梗塞)、不整脈、心不全、脳血管障害などのリスクがあります。
検査と治療
検査について
外来で簡易型ポリソムノグラフィー検査を行い夜間に血液中の酸素低下、呼吸の停止があるかどうか鑑別します。診察時にご自宅で睡眠時に装着していただく検査装置をお渡しします。ご自宅で検査を行っていただき、睡眠時の呼吸の状態や心拍数、酸素飽和度などを機械が記録しますので、そのデータを解析します。
治療と効果
適正体重の維持、アルコールの摂取しすぎに注意すること、鼻症状の改善・口呼吸から鼻呼吸にすることなどの生活習慣の改善から始めましょう。扁桃腺の肥大が強い方などでは耳鼻科での治療が必要です。閉塞性睡眠時無呼吸症候群では睡眠時に経鼻的気道持続陽圧法(nasal CPAP)療法をおすすめする場合があります。nasal CPAP治療とは睡眠時に鼻マスクを装着し、持続的に一定の圧力をかけた空気を送ることで閉塞した気道を広げる方法で、無呼吸や低酸素を防ぎます。
nasal CPAP治療のメリット
装着したその日から症状が解消されるため、スッキリした目覚めにより日中の眠気もなくなり継続治療を続けることで睡眠の質の向上、血圧低下などの効果が期待できます。
受診からnasal CPAP治療までの流れについて
- まずはご来院
検査データを取るために簡易型ポリソムノグラフィー検査器機をお貸ししますので、睡眠時にご自身で鼻マスクをつけてお休みください。 - データを解析&治療開始判断
後日、データをメール送信、又はマクロチップをお持ちいただき、院内で医師が解析します。その結果を基に適切な治療方法をご説明し、治療開始となります。 - 治療成果を確認しながら治療方針を決定
治療開始後、まずは1か月ごとにデータ解析し、治療の成果を確認しながら治療方針を決めていきます。 - 治療方針が決まったら、3か月ごとのデータ解析を行う
この段階になりますと、当院では遠隔診療が可能となりますので、ご来院いただくなくても、ビデオ診察により医師との診察・治療継続が可能となります(3か月に1度はご来院いただきます)
睡眠時無呼吸症候群にならないために
1.適正体重の維持
無呼吸症候群(SAS)は喉や首まわりの脂肪沈着がその発症に大きく関与しますので、まずは太りすぎないことが重要です。現在適正体重を上回っている方は、まずは適正体重を目指すよう心掛けましょう。すでに治療中の方にとっては、やせることは治療の一環になります。現在SASでなくても、顎の大きさによっては少しの体重増加がSASにつながる可能性もあります。
2.お酒に注意
いつもはいびきをかかないのに、お酒を飲んだ日にはいびきをかいてしまう。そんな経験はありませんか?アルコール摂取によって首や喉のまわり、上記を支える筋肉が弛緩するため、いびきが生じるのです。
3.口呼吸から鼻呼吸へ
アレルギー性鼻炎や副鼻腔炎などの鼻症状がある場合は、鼻での呼吸がしにくいため口で呼吸することがあります。それにより鼻呼吸のときよりも咽頭が狭くなり上気道が閉塞しやすい状態になります。
4.睡眠薬服用の注意
睡眠薬の多くは無呼吸症状を悪化させてしまいますので、自己判断での服用は避け、主治医とよく相談してください。
5.姿勢の工夫
横向きで寝ると上気道の閉塞を軽減できる場合がありますので、仰向けで寝ている方は抱き枕などを使って横向きで寝られる工夫をしてみるのもよいです。
6.扁桃腺のはれが関係することもあります
耳鼻科での治療が必要なこともあります。
睡眠時無呼吸症候群でお悩みの方
無呼吸症候群に詳しい医師が診断~経過観察までしっかりと管理いたします。症状が安定している患者さまは遠隔診療と併用も可能です。
どうぞご相談ください。
担当医のご紹介
-
二宮 淳一医師
一般内科 循環器科専門医、心臓血管外科専門医
火曜日午前/毎週
火曜日午後/第2・第4
金曜日午前/第1・第3・第5