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分子標的薬の「やめ時」と「続け時」を一緒に考える

分子標的薬はいつまで続けるの?

プレシジョンメディシンを受ける患者さんの疑問にお答えします。

がんの治療において、「分子標的薬」という言葉を耳にすることが増えてきました。
特定の遺伝子変異やタンパク質を狙い撃ちするこの薬は、プレシジョンメディシン(個別化医療)の中心的な存在です。

けれど、自由診療で始めた分子標的薬の治療を受けながら、こんな不安を抱える方も多いのではないでしょうか。

「いつまで薬を続ければいいの?」
「効果があるのか分からないのに、高額な治療を続けるのが不安…」
「副作用が出たとき、やめ時の判断はどうするの?」

今回は、がん遺伝子パネル検査後に適応する分子標的薬があった場合、それを「やめるタイミング」について、よくあるパターンや考え方をご紹介します。

分子標的薬をやめるタイミングは、大きく分けて4つあります

1.がんの兆候が確認されない(完全寛解)場合

がんが消失し、再発の兆候も見られない状態が一定期間続いた場合、分子標的薬の治療を終了することがあります。特に、術後補助療法や一定の期間で治療効果が見込まれるケースでは、「いつまで続けるか」があらかじめ決められていることもあります。
完全寛解の判断には、画像検査や血液検査など、慎重な経過観察が必要です。医師から「治療の目的を果たした」と説明された場合には、薬をやめることが選択肢となります。
ただし、その後も定期的なフォローアップは欠かせません。再発の兆候を早期に捉えるためにも、通院や検査を続けることが大切です。

2.効果が認められない場合

画像検査や血液検査などで、がんが進行していると判断された場合は、薬を継続するメリットが少ないとされ、中止が検討されます。

3.副作用が強く、日常生活に支障が出る場合

分子標的薬は比較的副作用が少ないといわれますが、倦怠感、下痢、発疹、間質性肺炎など、重篤化することもあります。
ガイドラインに則って副作用が強く出ていると判断されれば、一時的な休薬や完全な中止が選択されます。

4.経済的・心理的負担が大きくなった場合

自由診療での治療は高額になりやすく、特に分子標的薬は1か月で数十万円から数百万円かかるケースもあります。
金銭的な負担が生活に影響するようであれば、医師と相談のうえ治療を中止するという選択肢もあります。

やめること=あきらめること、ではありません

薬をやめるという選択は、「あきらめる」という意味ではありません。
「効果がない」「負担が大きすぎる」といった理由で薬をやめても、
その後にできることはたくさんあります。

* セカンドオピニオンで別の治療法を探す
* 他の分子標的薬や免疫療法に切り替える
* 未実施の標準治療に切り替える
* 緩和ケアと併用して、生活の質を重視する
* 臨床試験(治験)への参加を申し込む

大切なのは、「今のあなたにとって最善の治療とは何か?」を、医師や看護師と一緒に考えることです。

不安や負担を感じたら、いつでもご相談ください

自由診療に対する不安を抱えるのは、当然のことです。
「お金のことを話すのは気が引ける」と感じる方もいらっしゃいますが、医療者は患者さんの生活背景も含めて相談できる身近な存在です。

当院では、定期的に治療効果や副作用の状況を評価しながら、「やめ時」や「続ける意義」について、丁寧に説明するよう心がけています。
あなたが納得して治療に向き合えるよう、一緒に考えていきましょう。

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