患者さんが語る、プレシジョンメディシンの実体験
2025/05/13
プレシジョンメディシン本コラムでは、当院を受診された患者さんのリアルな声を交えながら、プレシジョンメディシンがどのように希望を与えるのか、そしてなぜ早期の受診が重要なのかについてご紹介いたします。
※プレシジョンメディシンとは、がん遺伝子パネル検査などで特定した遺伝子変異に応じて、効果が期待できる治療を選ぶがん個別化医療です。
標準治療で薬が効かないと、もう終わり(緩和ケア)といわれる。
でも、がん遺伝子パネル検査を受けることで、まだ治療法があるかもしれないと分かると、希望が持てる。
そう語るのは、あるがん患者さんの言葉です。
現代医療では、治療が尽きたと思われた場面でも、新しい選択肢が現れることがあります。
その希望のひとつが、プレシジョンメディシンです。
諦めなくてよかった。
標準治療が効かなくなった後、がん遺伝子パネル検査によって新たな治療薬が見つかり、治療を継続できた患者さんもいます。
大きな病院では保険診療内での治療の話ししかしてくれなかった。
自由診療でできることもあると知れてよかった。
プレシジョンメディシンを受けたことで、治療の道を広げ、患者さん自身の意思決定の幅を広げています。
一方で、不安もある
標準治療はターゲットを定めないで行っている。
遺伝子治療はターゲットを定めて行っている。ただ効果は分からない。
がん遺伝子パネル検査が万能ではないことも、患者さんは冷静に受け止めています。
治療薬(適応薬)が必ず見つかるとは限らず、見つかっても効果が現れるまでに時間がかかることもあります。
それでも、一縷の望みに賭ける
一時期の窮地を脱するためなら金額はいとわない。
継続的に出費が続けば辛くなるかな。
治療の選択には、経済的な面との向き合いも伴います。
それでも、命をつなぐ手段として、検査を選ぶ方が増えています。
自分の治療は、自分で決める
お医者さんにお任せしますは無責任。
自分が自分の社長。結果は自己責任。
こうした言葉には、治療を受ける立場の人だからこその覚悟と、主体性がにじみ出ています。
プレシジョンメディシンの意義は、単に治療薬を見つけることにとどまりません。
自ら治療に関わっていく思いを支えてくれるのです。
後悔しないために、今できること
友達で、標準治療が終わって、がん遺伝子パネル検査を実施した人もいるけど、それだと遅いから少しお金をかけてでも標準治療が終わる前にやらなきゃ。
最期の1か月はでかいから今から準備をしておく。
この言葉が示すように、検査のタイミングは極めて重要です。
「間に合わなかった」ではなく、「間に合う」治療のために。
検査は早い段階で行うほど、選択肢を広げるチャンスになります。
1日でも半年でも長く生きれば、1日後や半年後の(最新の)治療が受けられるということだもんね。
未来の治療法につなぐ“今”の一歩。
患者さんの声は、その一歩の重みを静かに、そして力強く語っています。
プレシジョンメディシンを通じて、希望を見出した患者さんたちの声は、「治療が尽きた」と思われる瞬間にも、まだ選択肢があることを教えてくれます。
自分の治療に主体的に関わっていくという姿勢を支え、生きる力を後押ししてくれるものです。
もちろん、経済的な不安もありますが、それ以上に「諦めなくてよかった」と語る声が、検査の持つ意味の大きさを物語っています。
プレシジョンメディシンは、「間に合った」と言えるその瞬間のために、そして未来につながる「今」の一歩として、多くの患者さんにとって大切な可能性となっています。