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がん遺伝子検査の結果から何が分かるの!?


がん遺伝子検査は、遺伝子の変異を見つけるものだと理解されがちですが、実はそれだけではありません。
がん遺伝子検査を受けることで、がん治療に役立つ他の重要な情報も得られるのはご存じでしょうか?
今回は検査結果から分かる内容について深堀りします。

がんの原因となる遺伝子の変異

遺伝子変異とは、細胞の遺伝子が壊れることを指します。
がんは、遺伝子変異が起きることで発生するため、これを調べることで「がんの原因遺伝子」が分かります。
そのがんの原因遺伝子をターゲットにした薬剤を使用することで、患者さんに最適な治療法を選択することができます。

免疫療法が効果的かどうか

最近注目されている治療法が「免疫療法」です。
免疫療法は、がん細胞を体の免疫システムに見つけてもらい、攻撃させる治療法です。
この治療法が効くかどうかを予測するために、がん遺伝子検査が役立ちます。
免疫療法が効果的かどうかを知る指標として、「TMB(遺伝子変異量))」と「MSI(マイクロサテライト不安定性)」があります。

まずTMB(遺伝子変異量)は、
がん細胞にある遺伝子の変異の量を示します。TMBが高いほど、免疫系にとってがん細胞が「異物」として認識されやすく、免疫療法が効果を発揮しやすいことが分かっています。

次にMSI(マイクロサテライト不安定性)は、
がん細胞の遺伝子の修復システムに異常があることを示します。MSIが高い場合、がん細胞は不安定な遺伝子を多く持ち、免疫系がそれを異常と認識して攻撃する可能性が高くなります。この場合、免疫療法が有効であることが知られています。
これらの検査結果をもとに、患者さんに免疫チェックポイント阻害剤を提案することができます。

遺伝的にがんになりやすいかどうか

がん遺伝子検査を受けることで、自身が遺伝的にがんになりやすい体質かどうかを知ることができます。
例えば、BRCA1やBRCA2という遺伝子に変異があると、乳がんや卵巣がんのリスクが高くなることが分かっています。
実際、ハリウッド女優のアンジェリーナ・ジョリーさんは、遺伝子検査の結果、乳がんと卵巣がんの発症リスクが高いと判明し、予防的に乳房切除を選択しました。
その決断は世界中に大きな衝撃を与え、がん予防の在り方についての議論を広げるきっかけにもなりました。
ただ、こうした対応については「過剰ではないか?」という意見もあります。
選択肢は人それぞれですが、遺伝子検査を受けることで、自分に合った判断をする手助けになるのは確かです。

遺伝性腫瘍のリスクについては、知りたくない場合は結果を伝えないこともできます。
遺伝的な情報は非常に個人的なものであり、その結果が不安やストレスの原因になることもありますので、医師や看護師にご希望をお伝えください。

がん遺伝子検査は、がん治療の選択だけでなく、予防にも役立つ重要な検査です。
遺伝子変異の特定や、免疫療法の効果予測、遺伝的リスクを知ることで、患者さん一人ひとりに合った治療が選べるようになります。検査結果を確認するときは、TMBやMSIなどのポイントにも注目してみてください。
それが、より根拠のある治療法への第一歩となるかもしれません

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