ノロウイルス の はなし
毎年12月~1月頃にピークを迎えるノロウイルスと言えばカキの生食が有名ですが、カキがもともとノロウイルスを保有している訳ではありません。
感染した人の糞便等によって汚染された海水を二枚貝がプランクトンと一緒に取り込むことによって貝の体内(内臓)に蓄積されます。
アサリやハマグリ、シジミなどの二枚貝もノロウイルスに汚染されていることがありますが、これらは基本的に加熱して食べるので胃腸炎の原因となることはあまりありません。
下痢、吐き気・おう吐、発熱です。
潜伏期間(感染してから症状がでるまでの時間)が12~48時間あります。
ノロウイルスの主な感染経路は経口感染ですが、生ガキ等を食べた直後にお腹の調子が悪くなった場合は、別の原因(食物アレルギーや毒素性の食中毒、飲みすぎ等)を考えます。
保険診療が適用となるのは3歳未満、65歳以上、癌などの基礎疾患をもっている方だけです。ほとんどの場合は、流行時期や飲食歴、症状などから臨床的に診断します。
病院で「ノロウイルスでしょう」と言われても、他の微生物による感染性胃腸炎である可能性はあります。
風邪のウイルスに抗生物質が効かないのと同様に、抗生物質の投与は意味がありません。
症状に応じて整腸剤や吐き気止め、解熱剤などによる対症療法をおこない、自然に回復するのを待つことになります。
通常、健康な人であれば2~3日以内に良くなります。
逆に症状が長引く場合は、他の原因による胃腸炎の可能性がありますので診察を受けることをお勧めします。
ノロウイルスは感染力が非常に高く、身近に感染者がいる場合は接触感染しやすく、物に付着したノロウイルスを触り口や鼻を触ることで感染する可能性があります。
また咳やくしゃみなどの飛沫が飛んで周りの人の口の中に入ってしまい感染します。
予防対策はとにかく体内にノロウイルスを侵入させないことが大切です。
そのためには、二枚貝などは火を通してウイルスを死滅させてから食べるよう心掛けること。
普段から手洗いや食器や鍋などの衛生面に注意してノロウイルスを付着させないことが大切です。
冬はますます空気が乾燥し、ウイルスが感染しやすい環境になります。
皆さまくれぐれもお気をつけくださいね。