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高血圧 高血圧

高血圧

日本では3人に1人が高血圧と言われています。高血圧そのものには自覚症状がほとんどないため、積極的に取り組まない人もいるかもしれません。しかし、長期にわたって高い血圧が続くと脳や心臓、腎臓の血管を徐々に傷つけ、脳卒中、心臓発作、腎不全などの恐ろしい病気を招きます。生活習慣を改善し、血圧をコントロールしましょう。

症状がないこともあります

症状がないこともあります

日本では3人に1人が高血圧と言われています。血圧が軽度高値の場合、自覚症状がほとんどないため、積極的に取り組まない人もいるかもしれません。しかし、長期にわたって血圧が高い状態が続くと心臓、脳や腎臓の血管に動脈硬化が進行し、脳卒中(脳梗塞、脳出血、くも膜下出血等)、虚血性心疾患(心筋梗塞、狭心症)、腎不全などの病気を引き起こすため、サイレントキラーなどといわれています。生活習慣を改善し、血圧コントロールを行い予防する必要があります。

高血圧になる原因

多く(約80-90%)は遺伝的な背景があり生活習慣の影響が加わって発症します。生活習慣として肥満、運動不足、喫煙、塩分摂取過多、睡眠不足、カフェイン過剰摂取、ストレスなどがあります。また、約10-20%には内分泌(ホルモン)異常、糖尿病、腎炎などによる二次性高血圧が隠れていることがあります。若年から血圧が高値な場合や、降圧剤で血圧の調節がなかなかつかない方は(採血や尿検査による)二次性高血圧のチェックが必要です。特に最近では原発性アルドステロン症といった二次性高血圧が発見される機会が増えてきています。

 

血圧の測定法

座位で、1~2分安静後に一度の機会につき1~2分程度あけて数回血圧測定してみましょう。最初の血圧は高値でも数回測定すると下がってくる場合があります。また、医療機関での血圧測定(診察室血圧)は家庭血圧にくらべ高値になる場合もあり家庭血圧も測定し比べてみましょう。朝夜で測定して血圧の変動をみることも大事です。朝は起きてから1時間以内で排尿をすませてから食前で薬を飲む前に、夜は就寝前に測定しましょう。ただし、飲酒や入浴後はやや血圧が低めに測定されることがあります。定期的に血圧値をノートや、スマートホンでも血圧測定アプリなどに記入しましょう。

 

診断~血圧の異常値をまず確認

診察室血圧で140mmHg/90mmHg、家庭血圧で135/85mmHg以上で高血圧となります。

表)高血圧の診断

診察室血圧 140/90mmHg以上
家庭血圧 135/85mmHg以上

医療機関では緊張等によって血圧が上昇しやすく、家庭血圧より数値が高めに設定されています。

 

血圧値の分類(診察室血圧)~高血圧の重症度

高血圧のレベルを軽症から重症に分類しています。収縮期血圧(上の血圧)と拡張期血圧(下の血圧)が異なる分類に該当する場合は高い方に分類します。

 

図)高血圧の重症度分類

高血圧の重症度分類高血圧治療ガイドライン2014(JSH2014)より

 

血圧の変動~測定する場所、時刻による血圧の変動、診察血圧・家庭血圧の差、仮面高血圧は心血管疾患のリスクが高まる

血圧を測定する場所や時刻によっては血圧が変動する場合があります。診察室血圧測定だけでなく家庭血圧を朝夜で測定することが必要です。また24時間自由行動下血圧測定(ABPM)が夜間の血圧上昇に有用な場合があります(当院では当機器はありません)。

1)仮面高血圧

家庭血圧は高いにもかかわらず診察室血圧が正常である場合をいいます。医療機関で測定すると一見血圧の異常はないようにみえますが、虚血性心疾患や脳梗塞のリスクが高くなるため注意が必要です。

2)持続性高血圧

家庭血圧と診察室血圧がともに高い場合をいいます。血圧の治療が必要となります。

3)白衣高血圧

診察室血圧のみ高く、家庭血圧は正常な場合をいいます。緊張などの精神的な要因が原因と考えられすぐに治療をする必要はありませんが、高血圧の前段階と考えられています。

 

また、起床時に血圧が上昇する早朝高血圧、昼間、ストレス、疲労、喫煙等で血圧が上昇するストレス性高血圧、就寝時に血圧が高値になる夜間高血圧のタイプがあります。また早朝高血圧と夜間高血圧の中には夜間就寝時から持続的に血圧が高値の場合、朝起床時に急に血圧が上昇する場合などもあります。

 

治療について

1.薬剤以外の治療~軽症まではまず生活習慣の改善を

軽度の高血圧では、まず生活習慣を見直しましょう。

食事:減塩、栄養バランス、過食に気を付けましょう。

体重:BMI(body mass index)=体重kg÷身長(m) 2で計算をします。25を超えないように肥満に気をつけましょう。

運動:マイペースで楽しんでできる適度な運動(有酸素運動)を行いましょう

ストレス、睡眠不足:ストレスを減らし睡眠時間を確保しましょう。

喫煙:禁煙がおすすめです。

その他:アルコール、カフェイン含有飲料の取りすぎにも注意が必要です。

なお、高血圧が中等症~重症、高度肥満がある場合には急な運動療法は危険な場合がありますので医師と相談してから行いましょう。また、生活習慣の改善で血圧が十分に下がらない場合は、お薬で血圧を降下させる必要があります。

 

2.血圧を下げる薬剤による治療

中等症から重症の高血圧や生活習慣の改善をしても血圧が低下しない場合は血圧を下げるお薬(降圧剤)による治療が必要になります。降圧剤は、多くの種類があります。医師によって処方されますが、どのお薬が良いかどの時間帯の服用するのがいいかなどは、一日の血圧の変動の具合、年齢、高血圧の重症度、他の病気の有無等によって異なります。内服開始後は、ふらつき、むくみ、倦怠感や臓器障害などの副作用などが出現しないかどうか定期的にチェックする必要もあります。また、高血圧が重症な方は急激な血圧低下はふらつきや臓器障害の原因になることがありますので、徐々に降圧していく必要があります。その場合は、治療開始後は外来で薬剤をこまめに調節していく必要があります。

当院では、単に血圧を下げるだけでなく、一人一人に合った薬を選択するようにしております。

 

血圧の目標値

年齢や合併症によって目標値(目安)がことなります(下記の表参照してください)。若年・中年者、糖尿病、腎障害、慢性腎臓病より低い血圧にしておくことが大切です。高齢の方は体の各臓器の機能が低下している場合があり血圧低下による臓器障害に注意が必要です。

 

表)降圧目標値

  家庭血圧の降圧目標値
若年・中年・前期高齢者(65歳以上) 135/85mmHg未満
後記高齢者(75歳以上) 145/85mmHg未満(忍容性あれば135/85mmHg未満)
糖尿病 125/75mmHg未満
慢性腎臓病(尿蛋白陽性) 125/75mmHg未満
冠動脈疾患(狭心症、心筋梗塞)、脳血管障害疾患 135/85mmHg未満

高血圧治療ガイドライン2014年(JSH2014)より