保険適用で受けられる「がん遺伝子パネル検査」ってどんな検査?
2025/06/30
プレシジョンメディシン
がん治療が大きく進化する中で、患者さん一人ひとりのがんに合った治療を選ぶための「がん遺伝子パネル検査」が注目されています。
この検査は、がん細胞に存在する複数の遺伝子異常を一度に調べ、効果が期待できる分子標的薬などの治療の可能性を探るものです。
保険でがん遺伝子パネル検査を受けられるのは、以下のような条件を満たす患者さんです。
・標準治療が終了または見込みがない進行がん
・固形がんの患者さん(肺、大腸、乳がん、膵臓など)
・全身状態が良好(Performance Status 0~1)で、新たな全身治療を検討できる状態
・がんゲノム医療中核拠点病院または連携病院で、適切なカンファレンスを経る体制が整っていること
検査は、がん組織(または血液)を使って遺伝子を解析するところから始まります。
【遺伝子パネル検査の一連の流れ】
この「遺伝子パネル委員会」では、腫瘍内科医、遺伝カウンセラー、臨床遺伝専門医、薬剤師、検査技師などが参加し、解析結果の臨床的意義を精査します。こうしたプロセスを経て、患者さんに伝えられるため、検査から結果説明までにおよそ2か月かかることが多いのです。
治療の可能性がある遺伝子異常が見つかるのは約30~50%
しかし、実際に使える薬(=分子標的薬など)につながるのは5~10%程度
これは、薬がまだ承認されていなかったり、臨床試験でしか使えない場合が多いためです。
今の制度では、標準治療を終えた患者さんが対象ですが、将来的にはより早期の段階で遺伝子検査を行い、最適な治療を選択する流れが当たり前になる可能性もあります。がんと向き合う選択肢を広げるためにも、この検査の意義を理解しておくことが大切です。
保険適用のがん遺伝子パネル検査で治療標的となる遺伝子異常が見つかったものの、保険内で使用できる薬剤がない場合でも、当院では自由診療(保険外)で分子標的薬の処方が可能な「プレシジョンメディシン科」を設けています。
他院で検査を受けられた方でも、遺伝子パネル検査の結果をご共有いただければ、自由診療での治療の可能性についてのご相談をいただけます。
治療の選択肢をあきらめたくない方にとって、新たな一歩となるかもしれません。お気軽にご相談ください。