インフルエンザは、毎年晩秋から春先にかけて日本中で流行を繰り返す疾患で、A型(H3N2[香港型]とH1N1pdm09)とB 型が臨床的に問題となります。かぜ症候群に比べると一般的に症状が強く、高齢者や乳幼児では肺炎や脳炎などを合併して重症化することがあるため注意が必要です。
インフルエンザの潜伏期間(感染してから熱などの症状が出るまでの期間)は1〜2日です。発熱や倦怠感(だるさ)、筋肉・関節痛、頭痛などの全身症状や、ノドの痛みや鼻水、咳などの上気道の症状が中心ですが、吐き気や下痢などがみられる場合もあります。
診断には、鼻や喉の奥を綿棒で拭って10分程度で結果が出る迅速検査があり広く普及しています。たいへん有用な検査法ですが、結果が陰性(インフルエンザの反応が出ない)であってもインフルエンザを完全に否定することはできませんので、症状や流行状況などから臨床的に診断することもあります。
治療としては、発症後48時間以内の抗インフルエンザ薬の投与が有効で、発熱などの症状を数日早く改善し、重症化を防ぐ効果があります。抗インフルエンザ薬は、一定の条件(家庭内の罹患者あり、65歳以上など)付きで予防薬として使用することが認められていますが、保険適用外となります。諸事情で予防内服を希望される場合は、全額自費診療となることをご理解の上でご相談ください。
予防のために最も重要なのはインフルエンザワクチンの接種です。流行が本格化する前の11月〜12月上旬頃に接種します。ワクチンによる発症予防効果は、流行年や年齢層などによっても異なりますが、約50〜60%程度です。このため、ワクチンを打っていても発症してしまう人は少なからず存在しますが、重症化や死亡を防ぐのに一定の効果があることは証明されており、国内外の専門家は毎年のインフルエンザワクチン接種を推奨しています。
1.迅速検査
インフルエンザの迅速診断は、鼻の奥の粘膜液を綿棒で採り検査します。迅速診断キットを用いておよそ数分程度でインフルエンザ感染の有無とA型・B型の判定を行うことが可能です。
2.臨床診断
インフルエンザ検査で陽性と出た場合はインフルエンザと診断されます。しかし、インフルエンザ簡易キットの精度は非常に上がったものの、残念ながら100%ではありません。インフルエンザであっても検査が陰性となってしまう例もあります。陰性の場合はインフルエンザの流行具合を考慮しながら、症状や周囲への影響なども含めて医師が判断していきます。
薬剤 |
使い方 |
特徴と欠点 |
タミフル |
内服×5日間 |
最も古くから使われ実績がある。小児にも使える。
飲み薬なので服用簡単。 |
リレンザ |
吸入×5日間 |
吸入薬なので、吸い方の上手下手で効果が変わる。基本的に小児用ではない。
肺炎合併例では使用しない |
イナビル |
吸入×1回だけ |
初日に1回吸うだけで終了なので服用が簡単。
小児にも使える。
肺炎合併例では使用しない。 |
ラピアクタ |
点滴×通常1回だけ 重症例は反復投与も可 |
基本的に内服や吸入ができない人や重症例に服用される。
効き目が早いというわけではない。 |
ゾフルーザ |
内服×1回だけ |
2018.3月登場
初日に1回内服するだけなので簡単。効きも早め。体重10kg以上なら小児にも使える。体重80kg以上の人は薬剤量が多く必要になるので価格がお高くなる。
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ご自宅にてできるだけ安静にしてください。脱水にならないように十分に水分をとります。特に吐き気や下痢がある場合は、5分おきに2-3口ずつ飲むといった工夫が必要です。また、 寒がっている時は温めて、暑がっている時は熱を逃がすように少し薄着にするなどして体温調整の補助をしてあげることも重要です。もちろん栄養補給も重要で、消化のよいものを少しずつ食べましょう。熱が下がって症状が改善しても、インフルエンザウイルスは体の中に残っているため、周りの人にうつしてしまう可能性があります。熱が下がった後もしばらく家で休むことが大切です。目安としては熱が下がってから2日間の自宅休養をとりましょう。
インフルエンザ診断書(有料)をご希望の方は診察時にお知らせください。
咳や熱がある方は、マスクを着用してご来院をお願いします。お持ちでない方にはマスクをお配りします。
陽性の結果が出た方は、優先的に診察をします。
できるだけインフルエンザの患者様の病院滞在時間を短くすることを心がけています。このため順番が前後することがございますが、院内感染のリスクを減らすためですので、ご理解いただければ幸いです。